【雑誌への寄稿】自律的に自立した地方都市モデルに向けたネットワークの組み替えと再生可能エネルギー(『住民と自治』)

『住民と自治』の2021年7月号の特集「自立分散型再生可能エネルギーをめざして」の巻頭に、「自律的に自立した地方都市モデルに向けたネットワークの組み替えと再生可能エネルギー」と題する論考を寄稿しました。

エネルギー制約が現実化しはじめている現在、「政策で乗り越えられること」と「政策では乗り越えられないこと」をきちんと見極めないと、地域社会の貴重な資源(リソース)を浪費してしまうことになります。

エネルギー関連技術が発展しているように感じられますが(そして、実際に発展著しいですが)、未だに人類がエネルギーに関して(実用的なレベルで)有している技術は、「自然界からエネルギーを採り出す技術」であって、「エネルギーを生み出す技術」は手にしていません。

そして、エネルギーを採り出すにもエネルギーが必要だというシンプルな事実を、政策展開の考慮に入れなくてはいけないくらい、全世界のエネルギー収支比(EROI:Energy Return on Investment)は、低下してきています。

難しい説明をすることもできますが、ものすごくシンプルにザックリと言うならば、人類はやっぱり「自然と共に生きる」しか、この地球上で1つの生物としての人間を次世代に継承していく術はないということです。

この事実を受け入れるところからスタートできる人や組織や街や企業や国家と、この事実を認めようとせず抗うことが「人類の進歩」だとムキになる人や組織や街や企業や国家との間で生じる溝は、この先、大きなものになっていくに違いありません。


書き出しは以下の通りです。

突き詰めて考えると、文明とは「余剰エネルギー」のことにほかなりません。どのような文明であっても、「余剰エネルギー」を超えた社会を構築することは不可能です。

(中略)

無限に「余剰エネルギー」を増やせればいいかもしれませんが、有限な地球においてそれはまず不可能です。したがって、将来に向け「エネルギー制約」を考慮に入れながら社会をどのようにデザインしていくのかという問題は、限りある「余剰エネルギー」を何によって手に入れ、どのような形で使用していくのかという問いと切り離して考えることはできません。